「貯金をしなさい」と言われながら育ってきた人が大半だったのではないでしょうか?
私も小さい頃に母親に「毎月すこしずつでもいいから貯金をしなさい」と言われて育てられました。
実際は貯金もろくすっぽせずに育ったばかりに後々後悔はしていましたが社会人となって、ある程度まとまった給料が出てるようになり、「貯金」をしようと思えばいつでもできますが、「貯金」に対しては否定的です。
もちろん、すべての「お金」を貯金しないというわけではなく、ある程度の「現金」を持って貯金して、残りはすべて株式投資などの投資資金に回しています。
すでに投資をおこなっている投資家の人は「いまさら何を言ってるんだよ、当たり前だろ」という意見もあると思います。
しかしまだ投資を始めていない人や、現金を投資に回さずコツコツと貯金している人にとっては「貯金」が正義だと考えているかもしれません。
今回は、貯金(現金)をすることは資産を目減りさせるだけではなく今後の資産形成に対しても圧倒的に不利になってくるというお話をしていきます。
これが今回の結論です。
貯金は資産を目減りさせていくものであり、資産形成には役に立たないということです。
では、中身に入っていきます。
- 金利が全くつかない銀行預金
- お金の価値も減り続けている
- 次々と値上げしていく日本企業
- 値上げに対応できる給料だったら問題ない
- インフレに強い資産にお金を預ける
- 現金を持つことが不利な時代になる
- 1%のインフレでも20年後1000円が819円になる
- 歴史的に見ても現金の価値は下がり続けている
- まとめ
金利が全くつかない銀行預金
多くの人がご存知とは思いますが、現在の銀行の預金は金利がほとんど付きません。
郵便局の定期預金は、ゼロが何個あるのか数えるのが大変なほど低金利です。
しかしながら、ずっとそのような状態ではありませんした。
50年前の1961年は5.0%とかなり高金利だった定期預金も、さらに日本経済が発展していくにつれて上がってきました。
1974年には7.5%もついていた定期預金ですが、そこからバブルが弾けて、1995年には0.35%と1%を切るようになります。
そして、2020年は、0.002%という超低金利となっています。
ここまでの話はよくある話で、いまさら何だよと思われているかもしれません。
お金の価値も減り続けている
一方で、お金の価値についてはどうでしょうか?
少し思い出してほしいのですが、今現在の日用品や食料品の価格は少し前より高くなっていませんか?
少し極端な例をあげるとすれば、タバコの値段はあがっていると知っていますか?
タバコを吸っている人は極端な値上げに悲鳴をあげているとは思いますが、逆にタバコを吸わない人は値段がここまであがっているのをあまり認識できていませんよね。
1985年からのグラフになりますが、2020年まで価格は200円から540円と2倍以上の値上げになっています。
タバコを吸う人は迷惑だから仕方ない、好きで吸っているんだから仕方ないとそういう話をしているのではなく「価格が上がっている」という話をしたいわけです。
これには、消費税アップやJT(日本たばこ産業株式会社)の収益アップが目的であったりと様々な要因があります。
200円で購入できていたものが、現在では500円をこえているというのはあきらかに「物価」が上昇していると同時に、「お金の価値」が下がっていることを意味します。
何度も言いますが、タバコだからというのはあまり理由にはなりません、タバコが値上がりしていると同時に様々なものも値上がりしているからです。
タバコを吸わない人には関係ないという話ではないですが、では車に乗らない人には関係のない「ガソリン」価格についても同様のことが言えます。
1966年は50円だったガソリン価格は2022年166円となっています。
約3倍以上の値段が上がっていることがわかります。
タバコよりも社会情勢等に寄って値動きの変動が激しいガソリン価格ですが、採掘技術があがっているにも関わらず1966年の価格には到底戻るとは思えません。
ガソリン価格(原油価格)は様々なモノに対して影響を与えます。
移動手段にかかるコストはもちろんのこと、電気代や工場を動かすエネルギー、そして様々な原料としても扱われるからです。
こうした1つのものが値上がりすることで、徐々にですがじっくりとありとあらゆるものが値上がりしてきます。
原料や原油だけが原因ではありませんが、緩やかに物の価値が上がるインフレはむしろ健全な経済とも言えるからです。
物価があがれば、企業の業績があがり、給料があがります。 給料があがれば、物価があがってもモノは購入できるからです。
しかしながら日本はそうではありません、緩やかにモノの価値が上がりながら給料が伸び悩み、またモノの価値もそこまで上がらなくなったため、当然給料はあがらなくなりました。
すると、海外は順調にモノの勝ちが上がっているので輸入に多くを頼っている日本は、物価高についていけなくなりました。
国民は疲弊し、物価は上がるが手取りは増えていないという状況がつづいているのです。
大事なのでもう一度言いますが、物価が上がること自体は健全な経済です。
それと同時にお金の価値は物価上昇と相対的に下がっていきます。
インフレ(物価上昇)がつづいている状況において、お金の価値が実質下がっているにも関わらず「金利」のつかない銀行にお金を預ければどうなるでしょうか。
文字通り、お金の価値は消滅していきます。
これまで、100円で買えていた缶ジュースがいまでは120円、130円します。
しかしながら、10年たっても1円もつかない金利にあずけていたお金を引き出しても100円ではジュースが買えないのです。
つまり、お金の価値が消滅していることと同じなのです。
これを防ぐためには、物価上昇以上の金利がつく場所にお金を預けるしかないのです。
極端な例にはなりますが、 100円のものが、1年後120円となったとしても、金利が20%つけばそれは同じ価値として購入できます。
世界の中央銀行も、日銀も緩やかに物価上昇を目指しています。
およそ、年2%程度の物価上昇を目標に金融政策をしています。
その分、お金も2%以上の金利がつかなければ相対的に変えるものが減ってきます。
長らくデフレが続いて日本の物価も押さえつけられていましたがコロナを迎えてインフレがこれからは進んでいくと予想されています。
IMF(国際通貨基金)の予想ではこれから日本もインフレが進むとしてこのような予想を出しています。
(IMF - World Economic Outlook Databases (2021年10月版)
長らくつづいたデフレも終わり本格的にインフレが始まっていこうとする中で、日銀もここぞとばかりにインフレターゲット2%に近づけるような政策を行ってきます。
では、果たしてあなたはこの物価高にたして対応できるのでしょうか。
すでにその物価高の足音は聞こえてきており、2022年4月から駄菓子のうまい棒は10円から12円の値上げを発表しています。(42年ぶりの値上げ)
うまい棒ならね…
うまい棒は象徴的だったからね、ずっと10円だったからインパクトがあるね
次々と値上げしていく日本企業
食料品、嗜好品、おやつ、冷凍食品、調味料などはすでに多く企業が値上げを発表しています。
また東京ガス、大阪ガス、東京電力などのエネルギー関連のインフラ企業も値上げを発表しました。
インフラつながりで言えば、首都高速道路やJR東日本、西日本も運賃の値上げ(新幹線料金など)です。
これから、原材料のコストが上がったり物流コストがあがることによってまだまだ連鎖的な値上げが行われていきます。
値上げに対応できる給料だったら問題ない
度重なる値上げを目の前にあなたの給料はそれ以上に上がっていくのでしょうか。
当然、値上げすれば企業業績はあがるので給料は上がっていくはずです。
実際はそうなることが経済にとって好循環を生み出すのですが、日本の場合はそうではありません。
当然給料が上がった分は住民税や所得税、社会保険料も一緒に上がってきます。
額面は増えているような感じはするけど、手取り額は全く増えていない状態なのです。
では、これまで積み上げてきた「貯金」はどうなっていくのでしょうか。
当然、金利はついていなので「そのままの額面」です。 お金の価値は減り、物価は高くなっていくだけで単純に生活が苦しくなるだけなのです。
インフレに強い資産にお金を預ける
インフレに強いとされるのが、株式や不動産と言われています。
株式はおよそ、企業の業績に連動していきます。
値上がりすればその分企業の業績が上がるからです。
不動産はインフレが進めば家賃があがり収益があがるためインフレに強いとされます。
もちろん、すべての企業の業績が株価に反映されるなどとすべてのことが当てはまるわけではありません。
さらに原材料コストがかかれば一時的に業績は下がってしまう場合もあります。
長期的に見ればインフレとともに企業は業績をあげ成長していくのです。
現金を持つことが不利な時代になる
緩やかに、そして確実にインフレが進むと仮定した場合「現金」はその価値を減らしていきます。
その際に現金を多く持っている人はそれ以上に資産価値を減らしていきます。
つまり、不動産や株式などの金融資産を持っている人と持っていない人は大きな格差が生じてくるのです。
1%のインフレでも20年後1000円が819円になる
実際に1%のインフレ目標が行われていった場合、物価はどうなっていくのでしょうか。
結果はこのグラフになります。
仮に1%のインフレが20年間つづいたとしても現金の価値は大きく下がることがわかります。
3%ってことは長く続かないと思うけど、それでも現金の価値がどんどん目減りしていく円。
1%でもこんなに減るってことは20年後以降もかなり下がってくるからね。
そりゃ、海外はどんどん給料が上がっていくわけね。
つまり、現金の数字は変わらないのですが、今現在1000円で買えていたものが1200円程度になっているということになります。
歴史的に見ても現金の価値は下がり続けている
本当に現金の価値がさがっているのかというと、本当です。
すべてのものが値上がりしていくと同時に、昔の人はお給料が3円とかだったのを聞いたことないでしょうか。
少し前時代的になってしまいましたが、アメリカの1ドルの価値を例にしてみると1ドルは200年掛けて0.06ドルの価値に下げっているのがわかります。
一方で、株式は599,605ドル、長期国債も952ドルと200年前同じ1ドルだったのに価値が大きく変化しているのことがわかります。
お金は現金で置いておけば価値は下がる一方で、投資することによってその成長性に対して同価値になって戻ってきてくれるのです。
資本主義の上で私達は生活しており、物価があがることは資本主義においては、基軸となっている原理です。
もちろん、お金を預けることを選択することもできますし、何かに投資することも選択できます。
今回は、お金を「置いておく」というのは投資すると同じくらい、いやそれ以上にリスクがあるということをお伝えしたかったのです。
まとめ
まとめると、「現金」というのは価値が下がり続けていくものであるということを念頭に置かなかればならないということです。
それは過去の事例からも明らかですべてのありとあらゆるものが「値上がり」していっているからです。
特に日本は数十年とデフレがつづいており、モノの価値があがりにくい社会になっていました。
しかしながら、世界ではインフレが進み、そして日本もコロナ後のインフレを皮切りに本格的にインフレが進んでいくと考えられます。
そうした中で、現金を保有するということは現金の価値を目減りさせていくとうことであるということをお伝えしてきました。
資産価値を減らさないためにはインフレ率より高い金利が求められます。
代表的な例が、株式投資や不動産投資になります。
様々な物品が値上がりをすれば企業業績もそれと連動しあがっていき、企業業績につられて株価も上がってきたという歴史があるからです。
というより、物価の上昇こそが資本主義の土台であり健全な経済であると言えます。 その社会のルールを知らずに金利がつかない現金を預金しておくのはお金をドブに捨てる行為を同じくらい愚かな行為と言えます。
これからの未来どうなるのかは、誰にもわかりませんが少なくとも物価は上がり続けていくことでしょう。
10年後、20年後その答えが出る頃にあなたの資産はどの様になっているでしょうか。
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*1:『株式投資第4版』(ジェレミー・シーゲル/日経BP出版)