日本証券業協会が2021年9月15日に発表した「個人株主の動向について」というレポートを発表しています。*1
これによれば、2020年の末までに個人の株主保有金額は前年度比で35.1兆円増えて125.5兆円になったと報告されています。
この数字は、統計発表開始で最大の増加で、様々な要因があると考えられます。
1つは単純に株価が上昇しているということ。
2つ目はマネーリテラシーが上がってきており株式投資を積極的にしている人が増えたということです。
今回は、2つ目の理由であげたマネーリテラシーの上昇によって積極的に投資を行っている人たち、新しく始めた人たちについて取り上げていきたいと思います。
投資に対しての注意事項…(クリックで下に詳細を表示します)
この記事は私が投資している銘柄を中心に主要指数・セクター別の動きなどをまとめていきます。主に私が投資しているのはハイテクグロース株でありFANG+銘柄とNASDAQ100になります。レバレッジ型の投資やハイテクグロース株には元本を大きく損なうリスクも有るためご注意ください。投資に対してはリスクを許容した上で投資してください。本記事・ブログにおいての個別銘柄・投資信託・ETFなどについては売買を推奨するものではありませんので予めご理解の上、お読みください。本ブログに掲載された銘柄において損失を被った場合においても責任は一切負いません。
(初回公開日時:2021年10月7日)
女性、若者の新規の証券口座開設が増加
まずは、実際どれくらいの人たちが新しく「投資」をはじめているのかというと、
- つみたてNISAの口座数は2年(2018年~2020年)で3倍に増えています。
- SBI証券は2021年3月に600万口座を突破。
- 楽天証券は2020年3月550万口座を突破、5月には600万口座突破。
- 松井証券は25歳以下の投資家の口座開設が前月より30%増加したと発表(2021年5月)
- LINE証券は2019年8月にはじまり2021年2月には50万口座を突破。
- 楽天証券の新規口座開設を行った人の68%が30代以下、45%が女性、投資初心者は75%となっています。
- 楽天証券の口座保有の割合は2016年では男性が74.8%(女性25.2%)だったのが、2021年3月末では男性65.3%、女性34.7%と女性の投資家が急拡大しています。
- また2016年には30代以下の投資家の割合は32.4%だったのが2021年3月には42.3%となり、20代においては7.3%が16.3%と倍増しています。
かなり、投資を始めた人が増えたってことだね
投資を始めた人が増えたのはわかるけど、年齢層が下がり女性の割合も増えてきたってことだね。
いろんな要因があると思うけど簡単に説明していくよ
証券口座を新しく開設している人たちが増えた理由
では、なぜここ数年で新規証券口座を開設し投資家がふえたのかという理由に迫っていきます。
(当然、大きな理由としては「資産」「お金」を増やしたいというのは大前提です。減らしたいたいために資産運用する人はいないですからね。それ以外の理由を紹介していきます。)
理由は大きく4つあります。
- 政府が積極的に投資を推しすすめているから
- 将来の不安とコロナの影響
- 低すぎる金利で預金では資産が増えないから
- 気軽に口座開設、手数料が下がっているから
では一個ずつ見ていこう!
政府が積極的に投資を推しすすめているから
日本政府は積極的に投資を推し進めているという背景があります。
売却益などに税金を課さない、iDeCoやNISA、つみたてNISAなどはよく耳にしていると思います。
さらにiDeCoは社会人にとっても少ない税制優遇のひとつとなり、控除となるため生活に少し余裕がある人を中心に急増しています。
日本政府は投資に資産を回させることによって株価を上昇させて政権運営が順調に行っていることをアピールしたいという思惑もあります。
私も当然、NISAとiDeCoを行っており資産は順調に増えています。
また投資に興味がなかった妻もNISAを初めていますし間違いなく投資需要はたかまっているものと思います。
将来の不安とコロナの影響
2つ目の理由としては、やはり「将来への不安」があると思います。
将来への不安を加速させたのは、「年金」「老後資金2000万円問題」「コロナ」だと考えられます。
年金の不安
年金基金(GPIF)が運用益を順調に上げていること以外は年金にはいいニュースが全くありません。
消えた年金問題や、少子高齢化による現役世代の負担増、さらには厚生年金の一部を国保で補填するなど、日本の年金制度は「大丈夫?」という不安があります。
とはいえ、ほぼ義務のように天引きされる年金を支払わないという選択肢は社畜にはなく「自分で老後資金を確保」しなければならないというのが現実的なのです。
老後2000万円問題
少し前の話題にはなりますが、金融庁が発表した老後資金に 2000万円くらい足りないといった問題は世間を騒がせました。
2000万円は退職金や年金だけでは補える金額ではないと考えた若者世代や金融リテラシーの高い人達が積極的に資産運用をするキッカケにもなりました。
当然、コツコツと貯金をして資産をふやそうという選択肢はあるものの、次の項目で上げる金融機関の預金の金利が低すぎるためアテにならないと判断した人が多かったのです。
問題は、老後に2000万円でほんとうに足りるのか?という点もありますが若いうちから準備をす流人が増えているということです。
コロナによって、口座数が激増
新型コロナウイルスによるパンデミックによって社会は分断されて将来に対しての不安が大きくなったことも要因です。
また国民に配られた10万円を貯金や資産運用のお金にする人も多かったのです。
海の向こうのアメリカも給付金で資産運用をする人が増えたという報告があります。
社会に対しての不安から貯金をする人が多かった一方で、貯金では(金利が低いので)お金は増えないという現実があります。
そうした中で積極的に資産運用をしてお金を増やそうとしている人が増えたのです。
もともとアメリカや欧州の人は資産運用には日本人と比較しても積極的です。
低すぎる金利で預金では資産が増えないから
度々このブログでは「銀行の金利は低い」「6%金利がついていた時代とは違う」と主張してきていますがお金を預けてもお金をふやしてくれないのであれば、お金を増やしてくれるところにお金を預けたいと思うのが真理です。
現在は多くの情報があふれており、さらにネット証券などでは低コストで資産運用が可能となったインフラが整っています。
インデックスファンドへの積立投資や、積立投資を行えば低リスクで資産を増やしてくれるという情報が簡単に手に入るのです。
気軽に口座開設、手数料が下がっているから
さらに最近ではネット証券を始めとする証券会社は手数料を抑えてくれたり、あるいは無料で取引させてくれるような証券会社まであります。
またポイント投資やスマホ証券などわかものにとって、証券口座の敷居がぐんと低くなっています。
こういった環境がととのっているということもあり、証券口座の開設が激増しているのです。
金融リテラシーは高くなっている
私が感じるのは「将来への不安」によって結果的に「準備」を余儀なくされた若者世代を中心に金融リテラシーがあがってきているのではないかと考えています。
特にニュースサイトやブログ、そしてYouTubeでも投資系の話題が増えたり手法や銘柄解説、またはインデックス投資などに関して開設してくれているものはたくさんあります。
(…私のブログもそのはしくれのつもりです)
あきらかに、数年前よりは「投資」という敷居は低くなっており、環境も整っていることで「実践」する人が増えてきているのです。
実践すれば、リテラシーは当然高まってきますし、結果として経済に興味を持ったり政策などのだめなところや成長戦略が気になってくるようになるのでメリットはあります。
多く人は金融知識に対しては自信がないと思っています。
自信がない知識に対して、多くの人がその金融・お金の知識を勉強しているといいうことです。
貯金は正義の脳死世代
これまでの世代は金融リテラシーどころか、「貯金が正義」という脳死の考え方で政策にも無知、成長戦略どころか、過去の遺産を食いつぶすしかありませんでした。
過去の栄光にすがり、貯金していた金利が6%などついていればわざわざリスクを負って投資する必要はなかったのですからある意味仕方ありません。
ただ、そういう時代ではないのです。
「不安」から金融リテラシーは上がっていく
これからの若者世代は将来に対して「不安」は抱いているものの、「何に投資すればいいのか」を考えることが増えるため結果的に金融リテラシーが高くなっているのではないかと考えています。
成長する投資対象に投資するのは当たり前
そういった中、日本の経済が上向きになると考える人が多ければ日本株に投資する人も出てきますが、一方で「日本はやっぱり将来性なくね?」となったひとは海外株、特に米国株にも興味を持ってくるのです。
私は日本株にははやめに見切りをつけて米国株にシフトしていますが今後は米国株はますます日本の若者投資家に受け入れられてくると考えています。
少子高齢化、社会保障、医療費増大する日本経済と世界の中心で人口は増え、経済は拡大する米国株。
どちらのほうがあたなの大事なお金を増やしてくれるのか明白です。
証券会社も米国株に力を入れ始めている
女性をはじめとする、若者世代の投資家が増えている一方で証券会社も熾烈な競争を繰り広げています。
手数料を下げたり、スマホアプリの開発など様々な施策を行っています。
老舗証券会社の松井証券は2022年にも米国株取引にたいおうすることを発表しています。
(さらにアプリの開発やYouTubeチャンネルで若者世代の取り込みにも力を入れていくようです。)
このブログでは、SBI証券や楽天証券、マネックス証券などを紹介していますが今後はもっと多くの証券会社が手数料を下げたり使いやすいアプリを作ったりしていくと思います。
また資産形成に置いて米国株投資が「当たり前」の社会になっていくのではないかと私は思っています。
まとめ
今回は女性や若者世代が証券口座をなぜ開設ししているのかという理由についてお伝えしてきました。
理由としては、大きく4つありました。
- 政府が積極的に投資を推しすすめているから
- 将来の不安とコロナの影響
- 低すぎる金利で預金では資産が増えないから
- 気軽に口座開設、手数料が下がっているから
その中でも「不安」からマネーリテラシーが向上すると考えており、その先に「米国株」投資が選択肢の中心となって今後も米国株投資が一般的になるのではないかとお伝えしてきました。
私自身も株式投資を行った当初は日本株が中心でした。
しかしながら、圧倒的なパフォーマンスや成長性を考えた結果いまでは、一部株主優待を受けられる銘柄を除いてはほぼすべてアメリカの株、投資信託となっています。
(奥さんは投資には興味ないがアメリカの投資信託に投資させています。)
新しく投資を始めようとする人に対して、明るい道標となるべく今後もこのブログでは米国株の情報を含めて金融資産が増える役立つ情報を提供していきます。
*1:投資信託に関するアンケート調査報告書-2020年