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今回は投資用語としてよく使われる「EPS」についての解説記事になります。
投資初心者にもわかりやすく、解説していきます。
個別銘柄投資をしている人には必見の内容になっていますのでぜひとも「EPS」を覚えておきましょう。
EPSというのは、「1株当たりの当期純利益」という意味です。
投資用語には、EPSの他にも、PERやPBRなどと様々な横文字や略文字が出てきますが1つずつ理解してその意味を把握しておくことが「投資家」として成長できる鍵になります。
- EPSは銘柄選択時でも最も注目され、企業の決算発表でも最も重要とされる指標の一つです。
- 日本株、米国株問わず重要となるので投資初心者はしっかりと抑えたい指標です。
(初回公開日時:2021年6月13日)
EPSとは?
EPSについて具体的に解説していきます。
EPSは投資家が企業に対しての投資判断や評価を行う際に利用される指標の1つで、1株あたりの当期純利益を計算したものになります。
「Earnings Per Share」の略ですが、読み方として「イーピーエス」で覚えてて問題はないです。
個別株投資を行う上では抑えておきたい用語ね
「EPS」によって、投資した株が1株あたりでどれだけ利益を上げているのかを判断することができます。
EPSは決算に出てくる
まず、EPSが出てくる場面としては各企業が四半期(3ヶ月)ごとに行う決算で出てきます。
このブログに置いても、「EPS」を重要視しており、個別決算を紹介する際はEPSと売上高を表示するようにしています。
EPSの計算式
計算式としては、当期純利益を発行株式で割ったものになります。
EPS=当期純利益÷発行株式数
「純利益」とは
純利益というのは、企業がすべての支払いを済ませた結果として、最終的に会社に残ったお金のことになります。
純利益じゃなくて利益でもいいんじゃない?
そうだね、その説明も入れておくね
なぜ当期純利益で計算するのかといいますと、当期純利益というのが株主への「配当」の原資となるからです。 なお、配当を行わない企業も、純利益で計算します。
純利益が多ければ多くの配当が配れるってことになるのね
発行株式数
発行株式数というのは、そのままの意味で企業が発行している株式の総数になります。
1000株発行していれば、当期純利益÷1000のような形になります。
発行株式数というのは発表されているので、決算ごとに純利益が発表されれば計算できます。
なぜ、発行株式数で計算をするのかというと例えば、当期の純利益が大きく伸びていたとしても1株あたりの当期純利益が大きくなるとは限らないからです。
例えば、増資(ぞうし)をなどすることで、企業は資金調達を行いますが増資する際に「発行株式数」を増やしている場合もあります。
増資したら株価は基本的には下がるもんね
持ってる株数が薄まっちゃうからね
増資をした場合、発行株式が増えている分1株あたりの当期純利益(EPS)は増えていないということになります。
あくまでも投資家や株主が判断する材料ですので、1株あたりの純利益という点では発行株式数で計算するのです。
例えば、A社の純利益$1億の企業があったとします。
発行株式が1億だとすると、EPSは「$1」となります。
B社は純利益が同じく$1億だとしても、発行株式が2億だとすると、EPSは$0.5となります。
この場合だとA社はB社と同じ純利益を上げていますが、B社よりも株式発行数が少ない分1株辺りの利益が上となります。
EPSは高ければ高いほうがいい
数字の見方がわかった上でではその数字がどのような意味を持つか、投資判断をどうしていいのかを解説すると、「EPSは基本的には高いほうがいい」という結論になります。
あくまでも原則だからね、全てが当てはまる場合じゃないよ
EPSが高い企業のほうが投資家からは評価されます。
またEPSは成長率にも注目していきたいです。
EPSが増えている場合は今後も成長できるのではないかという見込みがあります。
EPSが伸びているということは、それだけ売上・利益が上がっていることやコストの削減がうまくいっている証明にもなります。
つまり企業が「収益率」が高い体質になっていることがわかるからです。
EPS単体でみるのではなく、前期(QoQ)のEPSと比較したり前年同期比(YoY)でみることも重要なのね
EPSが理解できるとPER(株価収益率)もわかってくる
PER(Price Earnings Ratio)とは
少しおまけにはなるのですが、投資家が重要視している指標として「PER」というものもあります。
PERは株価収益率と言って、現在の株価が割高なのか、割安ななのかを判断する材料になります。
割安な株を買いたいからね、詳しく知っておいたほうが良いね
PERの計算方法
PERの計算方法は、現在の株価割るEPSで算出されます。
- PER=現在の株価÷EPS
- PER=時価総額÷純利益
横文字ばっかになってきてる
わかりやすくいくから、ついてきて。ここではEPSの記事なのでPERの計算はEPSの方を採用していくよ。
一般的ではありますが、PERが低い場合は「割安」と判断され、PERが高い場合は割高と判断されます。
株価だけを判断するのではなく、純利益や株式総数から判断するために重要なのがこのPERなのです。
単純に株価が低いから割安というわけはなく、利益水準から判断できるのです。
ちなみに、収益成長性が高いグロース株などは将来に対しての収益拡大など「期待」が株価に織り込まれている傾向が強いです。
よって、グロース株などはPERが非常に高い事が多いです。
ただ、PERは1つの判断基準でしかなく、何倍だから割高であるとか、PERが何倍だから割安だという絶対的な基準ではないということは抑えて置かなければなりません。
あくまでも、比較したときに参考となる数字であるという位置づけです。
EPSが理解できると配当性向もわかってくる
次に、PERではなく、本題のEPSを理解した上でもう一つわかると面白くなる指標があります。
それが配当性向です。
高配当投資家やバリュー投資家が非常に重要視している指標ですので抑えておきましょう。
配当性向とは
配当性向というのは、当期純利益のうちにどれだけ株主に還元(配当)したかを表す数字になります。
例えば、配当を出している会社で大きな純利益をあげたとしても配当が少なく、貯金に回した場合は配当性向が低くなります。
企業の株主への還元の「姿勢」がこの配当性向には現れるのです。
だったら配当性向が高いほどいいってこと?
それがそういうわけでもないんだよね
配当性向の計算方法
配当性向はこのような数式で表します。
- 配当性向(%)=1株あたりの配当額÷EPS×100
配当性向高ければ良いわけではない
配当を重視する投資家も非常に多いですので、配当性向は重要視されますが、配当性向が高ければいいというわけでもありません。
むしろその逆で、配当性向が高すぎると問題です。
純利益というのは、次の会社の成長する原資になります。
設備投資したり、人材を確保したりといった「資源」ですのでそれをすべて吐き出すということは「成長しません」ということを宣言しているようなものです。
よって、グロース株などは配当を出さずに、内部留保を蓄えて設備投資などを行い株価をあげることによって株主に還元するという手法もあります。
あくまでもバランスが重要で、配当を重視する企業はバランスよく配当性向が高いのかというところをチェックしなければならないのです。
日本企業の場合は、配当で株主に還元するという文化があまり強くないので配当性向が低い企業が欧米企業よりも多い傾向にあります。
まとめ
では、話をまとめていきます。
- 株式投資にあたって決算で出るEPSは高いほうが良く、成長性を加味しながら投資判断に使えます。
- EPSは、当期純利益から発行株式数を割った数字で表すことができ、EPSは単体でみるだけではなく前期比や前年同期比などでも比較して成長性を見るとより判断の材料になります。
また、EPSからでるPERは1株あたりの収益性で現在の株価の割高感や割安感を判断できます。
- グロース株などは比較的将来への期待感なども株価に織り込まれているためPERは高い傾向にあります。
さらにEPSは企業の株主への姿勢を判断する「配当性向」という指標をはじき出すことができます。
配当性向は配当を純利益のなかからどれだけ出しているのかを判断しますが、配当性向が高ければいいわけではなく、バランスを見ることが重要です。
EPSなど投資は様々な横文字がありますが、1ずつ噛み砕いて理解していくことが負けない投資家になるめには非常に重要です。
また個別株投資を行う際には「企業」のEPSやPERなどを投資の判断材料にしてみてください。
私のブログでも重要な銘柄においては決算内容をEPSと売上高などをまとめていますので参考にしてみてください。
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