今回は、9月アノマリーに引き続き10月のの米国株市場の様子を占うべき過去の相場を振り返ってみて9月の平均騰落率などを出していきたいと思います。
もちろん、未来はだれにもわかりませんし、ましてや株式市場などは予想はできるものの多くの人が予想を外してしまうものです。
あくまでも「アノマリー」になってしまいますが、未来を予想売るヒントが過去に埋もれているのであれば、それを参考にして将来の予想に生かして行きたいと思います。
アノマリーとは…(クリックで下に詳細を表示します)
■アノマリー(Anomaly)というのは、現代のポートフォリオ理論や、相場のその他の理論の枠組みやフレームワークなどでは説明ができないものの経験則や過去の統計などから観測できる規則性のことを指します。例えば、月間では何月が上がりやすいなどから言われたりするものです。よく言われてるのが5月に株式相場が下がりやすいことから「セルインメイ」などと言われることもあります。
では、10月の過去の実績を見ていきましょう。
今回参考にするのは、9月の過去の実績ですがアメリカの代表的な指数であるS&P500と、私が集中して投資している「NASDAQ100」にフォーカスを当てていきます。
S&P500の場合は、(データの集計上)1970年から約過去50年の歴史を遡ります。 NASDAQ100の場合は(データの集計上)1985年10月から の歴史を振り返ります。
- S&P500指数:1970年から約過去50年の歴史
- ナスダック100指数:1985年10月から の歴史
- 結論から言えば、10月のパフォーマンスは割りと良い結果となっています。
- S&P500は過去52年の歴史から10月のパフォーマンスは+0.86%上昇していることがわかりました。(9月-0.72%)
- 同様にNASDAQ100の場合は、36年の歴史から10月のパフォーマンスは +1.79%(9月-0.37%)という成績でした。
- 10月はアノマリー的には反発しやすいタイミングの月であるということが覗えます。
- 1987年10月19日には歴史的にも暴落したブラックマンデーなどもありましたので注意が必要です。(S&P500は-21.76%、NASDAQ100は-26.97%)。
- 逆に言えば年末にかけての大きな仕込み時のタイミングとも言えます。
10月は9月が下がった分反発してるんだね!
過去をみていくと9月は下がりやすいけど10月は反発してることがわかるね。
では、詳しく内容に入っていきます。
よかったら最後まで読んでいただけると嬉しいです。
ちなみに先月の相場は過去記事でご確認ください。
S&P500の10月
まずはS&P500の9月から見ていきます。
過去53年を振り返り、10月の平均騰落率は+0.86%とプラスになっていることがわかりました。
この図をご覧になってわかるように、プラスの年も多くありますが、一方で大きく下落した年もあることに注意しなければなりません。
近年でも2021年は6.91%と大きく上昇した一方で、2018年には-6.94%と同様に下落していることがあります。
10月に起きた恐怖の「ブラックマンデー」から学べること
ブラックマンデーは10月に発生
また後述でまとめますが、1987年には歴史的な大暴落のあったブラックマンデーがあり1987年10月には-21.76%の下落を記録しています。
ブラックマンデーとは、1987年10月19日に起きたニューヨーク株式市場での大暴落のことです。
ブラックマンデーはなぜ起きたのか
米国は財政赤字に加えて貿易赤字の「双子の赤字」を抱えている状況で、ドル安に伴うインフレ懸念が浮上していました。
景気の悪化に加えたインフレ、つまり「スタグフレーション」の状況でした。
当時のアメリカの大統領はロナルド・レーガンでレーガン大統領はスタグフレーションから脱するために考えた経済対策「レーガノミクス」を推し進めます。
レーガノミクスは主に4つの政策によって構成されています。
- 歳出削減
- 減税
- 規制緩和
- 安定的なマネーサプライ
このレーガノミクスによってアメリカを復活させようとしていました。
レーガノミクスによって金利は上昇し、ドル高になりますがドル高が予想以上につづき1985年にプラザ合意を発表し為替市場に協調介入していきます。
すると今度はドル安になってしまい、1987年ルーブル合意を発表しドル安に歯止めを効かせようとします。
(1987年2月22日にパリのルーブル宮殿で開催された先進7カ国の財務大臣と中央銀行総裁会議)
しかしこのルーブル合意は各国の調整が噛み合わずに失敗に終わります。
走行しているうちにブラックマンデーが10月に起きてしまうのです。
ルーブル会議だけではなく、他の要因も様々なあると言われています。
他にも、「双子の赤字」問題や、株式の自動売買プログラムが同時多発的に発生してしまったことなども大暴落を引き起こしたと言われています。
昨今のウクライナ情勢やドル高、日銀の為替介入など今回のブラックマンデーに通じるものも多少なりともあるかもしれませんので歴史を学んでおくことは良いかもしれません。
1929年10月に起きたウォール街の大暴落は世界恐慌のきっかけともいわれており、当時のダウ平均の下落率は-12.8%でしたが、ブラックマンデーの下落率は-22.6%になります。
1929年の大暴落も10月だったんだねw怖すぎでしょw
1929年から58年後の1987年にブラックマンデーでしょ?まだ35年しか経ってないし…
S&P500が10月に上がった年ランキング
全体的に厳しいとされる10月の成績をランキングで見ていきます。
どの年が厳しかったのか、逆にどの年が一番良かったのかを見ていきましょう。
- 1974年10月:16.30%
- 1982年10月:11.04%
- 2011年10月:10.77%
- 2002年10月:8.64%
- 2015年10月:8.30%
- 1998年10月:8.03%
- 2021年10月:6.91%
- 1999年10月:6.25%
- 1975年10月:6.16%
- 2003年10月:5.50%
10月で高パフォーマンスを出したトップ3はいずれも10%を超える上昇をみせており1974年と1982年は割りと古いですが2011年に10.77%を記録しています。
また2021年の6.91%も上位に食い込んでいることから10月の上昇はブラックマンデーがチラつくも非常に期待できるともいえます。
また上昇すれば、平均で4.61%の上昇を見せており52年のうち30年間は上昇しています。
S&P500が10月に下がった年ランキング
- 1987年10月:-21.76%
- 2008年10月:-16.94%
- 1978年10月:-9.16%
- 2018年10月:-6.94%
- 1979年10月:-6.86%
- 1977年10月:-4.34%
- 1971年10月:-4.18%
- 1997年10月:-3.45%
- 2020年10月:-2.77%
逆に下がった年をみていくと、非常に厳しい結果になっているのがわかります。
- 1987年10月:-21.76%
- 2008年10月:-16.94%
- 1978年10月:-9.16%
特に先程からお伝えしているように1987年のブラックマンデーの月間の下落率は半端なく-21.76%となっており驚異的な下落となっています。
さらに2008年にはリーマンショックも起きており、9月に起きた暴落も継続して10月も-16.94%となっています。
1978年には第二次石油危機(オイルショック)により下落が起きています。
下落回数は52年で22回となっており、下落する確率は低いものの大きな下落が歴史的にあったというのが10月になります。
この数値には歴史が古すぎて加えていませんが、世界恐慌のきっかけとも言われた大暴落も10月に起きていることから非常に恐ろしい月になることもあります。
下落した場合の平均下落率は-4.24%と割を大きな下落もあることから注意が必要な月になりそうです。
よって、10月のレンジとしては上がるとしても+4.61%から下がった場合は-4.24%のレンジが予想されます。
上がる確率が高いとはいえ歴史的な暴落があったことも頭の片隅に入れておきたいですね。
- 10月にS&P500が上昇した回数は30回であり平均は+4.61%
- 10月にS&P500が下落した回数は22回であり平均は-4.24%
- 歴史的にもブラックマンデーやオイルショック、そして世界恐慌などといった大暴落があったのも10月であることから「何が起こるかわからない」そんな注意をしたい10月です。
あくまでもアノマリーだけど普通の年であれば何事もなくプラスになることが多いから…。
ただ不安だけはなくてマックスと最低ラインを把握してれば安心感にもつながるからね。
NASDAQ100の10月
NASDAQ100の場合はS&P500と比べて若干違うのがまだまだ歴史の浅い指数であるということです。
指数化されたのが1986年前後であるためS&P500とは数字にばらつきも生じやすいというのを念頭においておく必要があります。
といっても、NASDAQ100はS&P500を大きくアウトパフォームしてきた歴史があります。
さて、NASDAQ100の10月はS&P500と同様にプラスの月が多くなっています。
トータルでは36年間で平均騰落率は1.79%とプラスになっています。
といっても、NASDAQ100もブラックマンデーなんかに影響もされてるよね。
ブラックマンデーのときのNASDAQ100は-26.97%と大暴落があったけど、それでもトータルは10月はプラスってことはかなり力強く動く可能性もあるよね。
直近で見てみても、
- 2021年10月:+7.90%
- 2020年10月:-3.20%
- 2019年10月:+4.31%
2勝1敗となっており、2021年は大きく上昇しています。
36年間のうち上昇した回数は、24回で下落した回数は12回と勝率は割と高いです。
7月のようにダブルスコアをつけて3分の2の確率で上昇しています。
とはいっても「勝率もほどほど高く期待値も高い」というのが10月のナスダック100の傾向ではないでしょうか。
NASDAQ100が10月に上がった年ランキング
S&P500と同様にNASDAQ100も9月に調子の良かった年と悪かった年を見ていきます。
まずは上昇率が高かった年を見ていきます。
- 2002年10月:18.86%
- 2001年10月:16.81%
- 2015年10月:11.19%
- 2011年10月:10.33%
- 1999年10月:9.53%
- 2003年10月:8.64%
- 2021年10月:7.90%
- 2007年10月:7.07%
- 2010年10月:6.33%
- 2004年10月:5.24%
2000年代の数字がほとんどだね!
最近の数字いえば、
- 2015年10月:11.19%
- 2021年10月:7.90%
最近の10年で上昇した付きも非常に少なく、NASDAQ100指数の統計はS&P500よりもかなり最近なものばかりを抽出しているにも関わらず、少しさみしい気もします。
年末に向けて仕込む人いれば上がるだろうし、相場によるからなんとも言えないよねw
なかなか各年数で見ても見えないものもあるからね
36年のうち、24回上昇しており、そのうち4回が10%を超える大幅上昇しています。
上昇した24回の上昇率は6.45%とかなり期待できる数字でもあります。
(9月は20回で3回しか10%以上の上昇はなかった)
勝率66%でなおかつ6.45%のパフォーマンスが過去のデータから読み取れます。
では、逆に3割の確率で負ける可能性の方も見ていきましょう。
NASDAQ100が10月に下がった年ランキング
- 1987年10月:-26.97%
- 2008年10月:-16.30%
- 2018年10月:-8.66%
- 2000年10月:-8.07%
- 1997年10月:-7.07%
- 2012年10月:-5.40%
- 2020年10月:-3.20%
- 2009年10月:-3.02%
- 1988年10月:-2.56%
- 1990年10月:-2.54%
逆にNASDAQ100が下落した回数は36年間で13回となっており、下落した年の平均は-6.80%となっています。
やはり大きく目立つのは1987年の10月の下落率-26.97%です。
何度もお伝えしていますがこれはブラックマンデーによるもので、NASDAQ100も大きな被害を受けています。
さらに2008年の16.30%はリーマンショックによるもので、これらから言えるのはS&P500と同様に下落するときは非常に大きな下落もあるというのが10月の怖さといえます。
負ける確率は低いとはいえ、負けるときは大きく負ける可能性があるというのは頭の片隅に入れて置かなければなりません。
- 10月にNASDAQ100が過去37年を振り返って上昇した回数は24回であり平均は+6.45%
- 逆に10月にNASDAQ100が過去36年で下落した回数は13回であり平均は-6.45%
- ブラックマンデーの1987年、リーマンショックの2008年は大きく下落しており歴史的な大暴落が起きているのも10月です。
- 前月同様に年末ラリーにさしかかる10月は買い場の月と言えるかもしれません。
- ただ歴史的も大きな下落があったことから再びこのような下落があるかもしれないというのは頭の片隅に入れて置かなければなりません。
まとめ
過去は過去ですし、財政状況や経済状況、構成する企業や、世界情勢を含めて様々な要因が複雑に変化している時代です。
あくまでも過去の実績やデータであることを念頭においておく必要があります。 ただ、こうした過去のアノマリーを気にする人も一定数いることからそれが相場に与える影響もゼロではありません。
重要ではない情報ではありますが、こうした過去の歴史を頭の片隅に少しでも入れておくことによって正しい投資判断ができるかもしれません。
あくまでも投資は自己責任において行い、様々な情報を吟味して慎重に行っていきましょう。
また過去のシュミレーションとしては、リーマンショックから投資をしていたらどうなっていたのかを検証していきます。
厳しい相場続いていますが、過去から学ぶことも多くあります。
不安になることもあると思いますが、冷静な投資の判断をこれからもしていきましょう。
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