今回は、前月に続き7月の米国株市場の様子を占うべき過去の相場を振り返ってみて7月の平均騰落率などを出していきたいと思います。
もちろん、未来はだれにもわかりませんし、ましてや株式市場などは予想はできるものの多くの人が予想を外してしまうものです。
あくまでも「アノマリー」になってしまいますが、未来を予想売るヒントが過去に埋もれているのであれば、それを参考にして将来の予想に生かして行きたいと思います。
アノマリーとは…(クリックで下に詳細を表示します)
■アノマリー(Anomaly)というのは、現代のポートフォリオ理論や、相場のその他の理論の枠組みやフレームワークなどでは説明ができないものの経験則や過去の統計などから観測できる規則性のことを指します。例えば、月間では何月が上がりやすいなどから言われたりするものです。よく言われてるのが5月に株式相場が下がりやすいことから「セルインメイ」などと言われることもあります。
では、7月の過去の実績を見ていきましょう。
今回参考にするのは、7月の過去の実績ですがアメリカの代表的な指数であるS&P500と、私が集中して投資している「NASDAQ100」にフォーカスを当てていきます。
S&P500の場合は、(データの集計上)1970年から約過去50年の歴史を遡ります。 NASDAQ100の場合は(データの集計上)1985年10月から の歴史を振り返ります。
- S&P500指数:1970年から約過去50年の歴史
- ナスダック100指数:1985年10月から の歴史
- 結論から言えば、7月は過去の数字から見ればあまりまずまずの成績だということがいえます。
- S&P500は過去52年の歴史から7月のパフォーマンスは+0.79%でした。
- NASDAQ100の場合は、37年の歴史から7月のパフォーマンスは +1.44%という成績でした。
では、詳しく内容に入っていきます。
よかったら最後まで読んでいただけると嬉しいです。
ちなみに先月の相場は過去記事でご確認ください。
S&P500の7月
まずはS&P500の7月から見ていきます。
過去53年を振り返り、7月の平均騰落率は0.79%とプラスになっていることがわかりました。
この図をご覧になってわかるように、多くの年で7月は上昇していることがわかります。
特に2015年から2021年の7月は7年連続であがっていることも期待できる要因です。
ちなみに2015年から2021年の上昇した7年の平均騰落率は+2.88%となっています。
下落したのを遡ると2014年まで遡り、-1.51%となっています。
S&P500が7月に上がった年ランキング
割りと好成績が多い7月ですが、7月が上昇してきた年のランキングをまとめてみました。
- 1989年7月:8.84%
- 1997年7月:7.81%
- 2009年7月:7.41%
- 1970年7月:7.33%
- 2010年7月:6.88%
- 1980年7月:6.50%
- 2020年7月:5.51%
- 1978年7月:5.39%
- 2013年7月:4.95%
- 1987年7月:4.85%
割りとバランスのいい感じで上位10年の騰落率が出ているかと思います。
古い年もあり、最近の2020年が7位で5.51%、2009年が3位で7.41%、2010年が6.88%、2013年も9位で4.95%とまんべんなく7月は期待できる月間と言えるのかもしれません。
52年のうち上昇した年は、トータルで27回と勝率は5割を上回っていますし、その27回の平均で言えば3.96%と6月の2.52%を大きく上回っています。
ただ6月は30回上昇していましたが、7月はその6月よりは少ないですが、勝つと大きく上がるという傾向が出ています。
では、次に逆に下がってしまった年のランキングを見ていきましょう。
S&P500が7月に下がった年ランキング
- 2002年7月:-7.90%
- 1974年7月:-7.78%
- 1975年7月:-6.77%
- 1986年7月:-5.87%
- 1996年7月:-4.57%
- 2004年7月:-3.43%
- 2007年7月:-3.20%
- 1999年7月:-3.20%
- 1971年7月:-3.16%
- 1983年7月:-3.03%
逆に下がった年をみていくと、
- 2002年7月:-7.90%
- 1974年7月:-7.78%
- 1975年7月:-6.77%
いずれも20年以上も前のデータが上位を占めていることがわかります。
下落した上位10位ないでも直近で見ると、8位の2007年の-3.20%と13年も前になり、10年以内に下落した年がないというのが7月の強さです。
また下落した年の25回の平均をみてみると、-2.64%となっています。
よって、7月のレンジとしては上がるとしても+3.96%から下がったとしても-2.64%のレンジが予想されます。
- 7月にS&P500が上昇した回数は27回であり平均は+3.96%
- 7月にS&P500が下落した回数は25回であり平均は-2.64%
- 下落したのを遡ると2014年まで遡り、-1.51%となっています。
あくまでもアノマリーだけどレンジがわかってると少し安心できるね。
マックスと最低ラインを把握してれば安心感にもつながるからね。
NASDAQ100の7月
NASDAQ100の場合はS&P500と比べて若干違うのがまだまだ歴史の浅い指数であるということです。
指数化されたのが1986年前後であるためS&P500とは数字にばらつきも生じやすいというのを念頭においておく必要があります。
といっても、NASDAQ100はS&P500を大きくアウトパフォームしてきた歴史があります。
さて、NASDAQ100の7月をみていくとおよそ、最近はプラスで推移していることがわかります。
実際に2008年から2021年まで7月は負け知らずの13連勝中なのが驚きです。
しかも、2007年の負けはたったの-0.11%ですので近年で言えば7月のNASDAQは連戦連勝状態が続いていることがわかりました。
たしかにこれはすごいね、ただこれが2022年も続くかどうかは別の話だよね。
平均の騰落率で見てみると、36年間の平均騰落率は1.44%と冒頭の結論で申し上げたとおりになっています。
上昇が続いている7月とは言えそこまで大きく伸びているわけではなく無難に勝ち続けている月間という印象です。
36年間のうち上昇した回数は、24回で下落した回数は12回と勝率は6割超えのダブルスコアで圧倒的にNASDAQ100は勝ちやすい月というのがわかります。
3年に2年は勝ってるってすごいよね。
NASDAQ100が7月に上がった年ランキング
S&P500と同様にNASDAQ100も7月に調子の良かった年と悪かった年を見ていきます。
まずは上昇率が高かった年を見ていきます。
- 1997年7月:15.64%
- 2009年7月:8.54%
- 2005年7月:7.47%
- 2020年7月:7.37%
- 2010年7月:7.18%
- 2016年7月:7.07%
- 1991年7月:7.07%
- 2003年7月:6.26%
- 2013年7月:6.21%
- 1995年7月:5.73%
これは強いw
過去を遡ってみると、
- 1997年7月:15.64%
- 2009年7月:8.54%
- 2005年7月:7.47%
- 2020年7月:7.37%
- 2010年7月:7.18%
- 2016年7月:7.07%
- 1991年7月:7.07%
と7位までが7%を超える7月のパフォーマンスの強さが目立ちます。
しかも、近年の7月がランクインしている年が多いです。
ただS&P500よりも統計の設定期間が短いというのがわかりますが、やはり7%超えが多くあるのは驚きです。
36年のうち、24回上昇しており、そのうち7回が7%を超える大幅上昇しています。
上昇した24回の上昇率は4.86%と5%に迫る勢いです。
勝率6割でなおかつ5%近くのパフォーマンスが過去のデータから読み取れます。
では、逆に6割以上ある勝率のなかでも負けた3割の方の下落した統計を見ていきます。
NASDAQ100が7月に下がった年ランキング
- 1986年7月:-11.01%
- 2002年7月:-8.49%
- 2001年7月:-8.01%
- 2004年7月:-7.66%
- 1990年7月:-6.32%
- 1996年7月:-6.10%
- 2006年7月:-4.18%
- 1988年7月:-4.16%
- 2000年7月:-4.10%
- 1993年7月:-3.62%
逆にNASDAQ100が下落した回数は36年間で12回となっており、下落した年の平均は-5.41%となっています。
3割の確率で負けているという低確率ではあるのですが、負けたらその分大きく負けているという印象です。
特に上位3位までの
- 1986年7月:-11.01%
- 2002年7月:-8.49%
- 2001年7月:-8.01%
いずれもマイナス8%を超える下落率ということもあり油断すると大敗してしまうリスクもNASDAQ100の7月には隠されています。
ただ勝率は6割と大きく勝ち越している歴史もありますので、無難に勝ってくれるような月ではあります。
よってレンジとしては、もし7月にNASDAQ100が上がったとしてもおよそ、+4.86%程度になり、下落した場合は-5.41%まで下落することを視野に入れておいたほうが良いかもしれませんね。
- 7月にNASDAQ100が過去36年を振り返って上昇した回数は24回であり平均は+4.86%
- 逆に7月にNASDAQ100が過去36年で下落した回数は12回であり平均は-5.41%
- 2008年の-0.11%の翌年から2021年までは上昇を続けています。
まとめ
過去は過去ですし、財政状況や経済状況、構成する企業や、世界情勢を含めて様々な要因が複雑に変化している時代です。
あくまでも過去の実績やデータであることを念頭においておく必要があります。 ただ、こうした過去のアノマリーを気にする人も一定数いることからそれが相場に与える影響もゼロではありません。
重要ではない情報ではありますが、こうした過去の歴史を頭の片隅に少しでも入れておくことによって正しい投資判断ができるかもしれません。
あくまでも投資は自己責任において行い、様々な情報を吟味して慎重に行っていきましょう。
また過去のシュミレーションとしては、リーマンショックから投資をしていたらどうなっていたのかを検証していきます。
厳しい相場続いていますが、過去から学ぶことも多くあります。
不安になることもあると思いますが、冷静な投資の判断をこれからもしていきましょう。
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